一般的に、相続税の評価額は市場で売却した価格の約80%と言われています。
しかし、逆に、売っても7000万円くらいしかならないだろうといわれている土地、しかし、相続税評価額は約2億円…このような逆転現象の土地を相続したのは東京都の山本さん。
山本さんは、お父様がお亡くなりになり、この土地を相続することになりました。
なぜこのような逆転現象になっているのか?
簡単に説明しますと、間口(土地が道路に接している部分)が非常に狭く、奥に長く末広がりの約200坪の広大な土地であり、路線価も東京都内の閑静な住宅街にあるが故、非常に高く、相続税評価額が約2億円となってしまったのです。
山本さんも、地元で懇意にしている不動産会社へ相場価格の相談に向かいました。やはり、この土地は、間口が狭く、奥に広がった土地のため、分割ができず、また行政の法規制によってアパートやマンションなども建てることができない地域であることで、ざっと見積もっても7000万円程度ではないかとの査定を受けました。
7000万円という評価額にがっかりしたものの、到底、2億円で売れるはずなどない土地なのに、何でこんなに実態とかけ離れた評価額になってしまうのだろう…山本さんは複雑な思いをされていたようでした。
山本さんが私のところにご相談にいらしたのは、お父様の相続から約半年経過し、ある程度、相続税の試算や申告の準備が進んだころでした。
実は、今回の相続にはもう一つ問題があり、この土地は売らずに残したいものの、納税資金が不足していたという現実でした。
それ故、この土地で評価減をして、節税の可能性はないものだろうか、と悩み考えていたところ、私どものところにご相談にいらっしゃいました。
私どもは、遺言をはじめとする生前対策はもちろん、相続税申告のお手伝い、ご相談もお受けしておりますが、セカンドオピニオンという立場として、不動産のスペシャリストとして評価減のご提案をメインとした、節税のアドバイスをさせていただくこともよくあります。
さて、この問題の土地について、どのように評価減すればよいか、山本さんとともに現地に向かいました。この土地を見てまず感じたことは、確かに、2億円を出して買う方はいないだろう…といったことでした。
後日、周辺相場や、土地の利用価値を改めて検討・分析してみると、地元の不動産会社さんが言う通り、せいぜい7000万円~8000円程度が限界であるのでは、と感じ、また同時に、この土地であれば、鑑定評価と、広大地評価を使えば、評価減は図れるだろう、といった結論に至りました。
そして、早速、私たちのチームでもある、税理士、不動産鑑定士と組み、評価減を分析した結果、当初の評価額の約40%、ほとんど市場価格と同じくらいの8000万円程度まで、評価減を図ることが可能であるというところにたどり着きました。
結果的に、この評価減の効果が大きく出て、最終的には、山本さんはお父様の遺してくださった現金の範囲内で納税を済ませることができました。
思い入れのある土地を残すことができたこと、節税によって何とか納税を済ますことができたこと、山本さんは安心されたと同時に、非常に喜んでおられ、今回はセカンドオピニオンという立場であったものの、相続不動産のスペシャリストとしてお役に立てたことを嬉しく思った事例となりました。