今回、相続相談にお見えになったのは70代の男性、高田さん。
ご自分の生前対策についてのご相談でした。
高田さんは奥さまを3年前に亡くされており、二人の息子さんが高田さんの相続人となる予定です。
しかし、その二人の息子さんが高田さんの悩みの種でした。
15年前にとある出来事で、息子さんの二人が不仲となってしまっていて、そのことがずっと気になって仕方ありません。
高田さんの主な資産はご自宅とアパート一棟、あとは現預金でした。
相続税の納税は恐らく心配ないかと思われましたが、やはり不安要素は二人の息子の仲でした。
特に不動産の自宅とアパートはどちらに譲っても、間違いなく争いごとになり、仲違いした溝はますます深くなってしまう…そう不安に感じておられました。
そこで、生前に売却、現金化しておけば、揉めることなく公平に分けられるだろう、そうお考えになり、私どもに不動産売却とその後の対策についてご相談にお見えになられました。
もちろん、遺言にて、高田さん亡き後に売却換金するという指定方法もありますが、このような相続人の不仲が明らかなケースは、相続時に売却方法や売却価格にについてまとまらない可能性が高いので、生前に現金化しておくほうが安心でしょう。
高田さんは自宅とアパートを売却現金化し、施設に入ることにしました。
そして、不仲な二人が、相続時にも一切争いをしないよう、むしろ、できないように、財産の現金は二人で等分に相続することを公正証書遺言にて指定し、念には念をと、第三者の遺言執行者をたてることをアドバイスいたしました。(遺言執行者とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を持つ立場の人になります。遺言執行者がいる場合、たとえ相続人であっても、相続財産の処分、その他遺言の執行を妨げるような行為をすることはできません。また、相続人や受遺者などの利害関係人が遺言執行者になると、揉めるケースが多々ありますので、弁護士や司法書士などの専門家に依頼した方が望ましいでしょう)
高田さんのような、不仲が明らかな家族より、相続をきっかけに家族不和になるケースのほうがむしろ多いといえるでしょう。
「うちの子に限って…」は相続にも当てはまることなのです。